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【THE IDOLM@STER TACTICS 第1話】

     【アイドル】
      ──IDOL
      (1)偶像。崇拝される人や物。
      (2)人気者。
     【偶像】
      ──ぐうぞう
      (1)木・石・土などで作った像。特に、神や仏をかたどった像。
      (2)あこがれや尊敬・妄信などの対象となっている人や物事。

 かつて聖アジョラと12人の戦士は、世に放たれた魔神を倒し世界をすくったとされている。
 人々はその行為に歓喜し、畏怖と尊敬の念を持って彼らのことをこう呼ぶようになった『アイドル』と。


THE IDOL M@STER TACTICS


 
「また商隊が襲われて支援物資が奪われたって」
 魔法都市ガリランド国立アイドルプロダクション『765プロ』。
 かつてアイドルと呼ばれカリスマとなった聖アジョラにあやかって、軍の象徴、国民の意識統制、民衆扇動など様々な目的で次代のアイドルの育成が行われるようになった。
 しかし、ゾディアックブレイブ以降、彼らほどの突出した存在が生まれることはなく、その育成機関、管理機関として作られた数々のプロダクションもその数を減らしていった。
「うぅ、怖いよぉ」
「また例の、えっとなんって言ったっけ?」
「骸旅団?」
「そうそう、それ。その骸旅団の仕業なの?」
「だって話よ」
 50年戦争を終え、すでにまともに機能しているプロダクションは今現在この765プロだけになっていた。
「ねぇね千早ちゃん、わざわざ全員集めて何があるんだろうね?」
「はっきりとは言えないわね。でもだいたい想像はできるわ」
「え?何があるんですか?」
 765プロのミーティングルーム。と言ってもそれほど大きい部屋ではなく、今部屋内に6人の少女達がいるが、これですでに満員といった広さだ。
 少女達が口々に話をしていると、入り口のドアが開き1人の男、他に5人の少女を引き連れて入ってくる。
 と、言っても途中で入り切らなくなり、男はあわてて後ろからついてくる少女を止めて言った。
「すまん、ここじゃ無理そうだから外へ行こう」
 男は黒いフォーマルスーツに黒いサングラス、年の頃は20前後といった所で、平均的にな年齢からすれば少女達より年上ということになりそうだ。
 その後について部屋の中にいた少女達もぞろぞろと部屋から出て行く。
「プロデューサーさん、今日は何があるんですか?」
 左右にトレードマークのリボンをつけた少女が男の横まで進んで聞いてみる。さっきまで千早と呼ばれた少女と話していた内容を確かめるためだろう。
「ん、まぁついてからだ。そう焦るな」
 軽く焦らす感じで男は言い、階段を下り始める。
 王立という割りに、765プロは街の一部の建物を借り受けて運営されている。
 アイドルが民衆に広く認知され、国民の希望となることがそのあり方という思想から、プロダクションは基本的に王立という名を冠しながらも会社のような形態をとっていた。
 民間の傭兵事務所とでも言うのだろうか。軍に派遣されて戦闘に参加し、その費用を事務所が受け取る。もちろんそれ以外に国からの援助もされているため、厳密な意味ではやはり王立なのである。
 そんな事情からアイドル達が所属するプロダクションは城や特別な施設ではなく、街の中の建物を使っているのだ。
 しかしそこは王立。他の一般家屋とは違いそれなりの大きさ、訓練で使うための充実した設備、そして城や街全体の位置から考えた立地条件など、さまざまな長所がある。
 その中の一つ、広い中庭に到着すると、プロデューサーと呼ばれた男は目配せした少女達を整列させる。
「今日みんなに集まってもらったのは他でもない。もう知っている人も数人混じってると思うが、みんなのデビューが決まった」
「ほ、ホントですか!?」
 ひときわ大きな声を上げたのは先ほどプロデューサーに目的を聞いたリボンの少女だ。
 そのほかにもミーティングルームにいた6人のうち、5人は驚きの声をあげ、1人だけが納得という表情をとっている。
 プロデューサーに連れられてきた5人はすでに話を聞いていたのか、ニヤニヤと他のメンバーの反応を見ている。
「まぁ、落ち着け春香。今ちゃんと説明するから」
 プロデューサーに諭され、自分が役二人分ほど前に乗り出していたことに気付く。
「あ、す、すいません」
 ちょっと恥ずかしそうに後ろに下がる。それを確認し、プロデューサーが咳払い一つしてから話し始めた。
「みんなも知ってると思うが、最近骸旅団という組織が各地を荒らし回っている。騎士団をはじめラーグ公の近衛騎士団など多くの人員を動員して、この討伐作戦が行われることになった」
 骸旅団とはもともと50年戦争時に兵士不足のために募った義勇兵である。だが戦争が終わり、存在意義を失った彼らに待っていたのは、疲弊した国からなんの報償も受けられないとう酷い実情だった。
 彼らはこの事実から支配階級である貴族達に反旗を掲げ、圧政を敷く貴族や支配階級をターゲットとするテロ活動を行うようになったのだ。
「しかし、近衛騎士団まで動員するというこは城の警備まで手薄になってしまう。そこでここにいるアイドル候補生で城の護衛を行ってもらうことになった」
「え、それって」
「でででで、デビューってことですか?!」
 今度は一気にプロデューサーの眼前まで詰め寄る春香。
 首をしめんとするほどの勢いで詰め寄る彼女に、プロデューサーも思わず数歩後ずさってしまう。

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by pumpkin__head | 2001-01-01 23:58 | SS本文


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